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バランス論

初級法学講座で読んでいてほしいところ

必要なもの その1 柔軟な思考とバランス感覚


 法律は弱い者の味方だってよく言いますよね。で、法律以外の力のある者が法律によって力を行使できないという意味では、確かに法律の存在が弱い者の味方であるとは言えます。
 だけど絶対に誤解してはいけないのは、法律は弱い者の「絶対的な」味方ではないということです。
 法の下の平等って言葉がありますよね。これが出発点だと考えてほしい訳。AさんもBさんも人であれば法の下で等しく扱われるということ。
 そうするとこういうことが言えるのです。ある要件がそろった時に相手にあることが要求できる。それはAさんでもBさんでも一緒だ。だからこそ平等なのだし、要件をそろえれば法律の力を借りることができる。それは弱い者でも一緒なのだから、弱い者の味方になり得るし、相手が要件を揃えた時には要求されてしまう訳ですから、絶対的な味方ではないどころか敵にまわることだってあるのだ……と。

 fjではよくマイクロソフト社の商売のやり方が問題になりますし、消費者として被害を受けたという話もたまに出てきます。相手からこんな被害を受けたという話題も出ます。そして世の中法律だけで動いている訳ではないですから、法律以外の議論をするのは意味のあることです。
 でも法律を解釈する議論をするのであれば、ここで立ち止まらないとだめです。
「相手から見ればどうなるだろう」
 ここで妥当な判断を示せる人は、法律学の基礎を学んでいると言ってもいいでしょうし、紛争だって(相手が変でない限りは)落ち着くべきところに落ち着いているでしょう。
 ある意味法律学は、普通の人が無意識の内に妥当なところに落としている判断を、明示的にやっているのにすぎないということも言えます。私はよく「法律はたいてい常識のとおりか、そうでなければ常識を変えてもらわなければならない理由があるかのいずれかだ。」と言うのですが、その背景はこういうところにあるのです。


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