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私法の大原則

 私法の大原則としては、「私的自治の原則」を真っ先におさえておけばいいでしょう。極論を言っちゃうとこれだけ覚えて正確に運用できるようになると、あまり私法分野ではやることがなっちゃうくらい。
 私的自治の原則というのは、「市民対市民のことは基本的に自分たちで決めなさいよ」ってことです。
 その結果、市民が他の市民に何かをしてほしい、もしその願いが聞き入れられなければ権力の助力を得てでも実現させたいとするならば、その相手と事前に約束しておく必要が出てきます。国際法でも「pacta sunt servanda(合意は拘束する)」ということが言われますが、これは合意があればその合意こそが拘束力を発生させるということを意味するとともに、合意がなければ拘束されないということをも意味しておりました。このことは国内法でも私法の領域ではあてはまります。正確に言えば合意がなくとも法律に根拠があればそれを使って相手に強制ができますが、そうそう都合のいい法律がある訳ではないので、たいていは「約束をしなさい」ってことになります。法律上強制できるつもりで当事者がした約束を「契約」と呼んでいます。
 もしあなたが(当然権力関係者ではないとして(笑))他の誰か(これまた権力関係じゃないとする……今は私法の話だから当然なんだけど。)に何かをしてほしい、それも最終的に裁判でなんとかするって話なら、まず真っ先に当事者間に契約があるかどうかを検討してください。契約がなければ自己の主張を根拠付ける法律があるかどうか検討してください。どちらもだめなら裁判ではどうしようもありません。裁判以外の手を考えてください。
 では、契約の話へと入りましょう。


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