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再度田岡「国際法」からはじめましょう

国際法やら英米法や大陸法との比較法的な話やら一般法学的な話をすべく
「図書館でお茶会」を再編成しました。
twitter(@SASAKIMasatoTPL)にも(現在はタイムラグがありますが)流れるように仕掛けました。

というので……
やはりここからなのです。
田岡良一「国際法」新版の序 から

Francisco de Vitoria(フランシスコ デ ヴイトリア)がサラマンカ大学の教壇に立ったときから数えても、国際法学は四世紀半の長い伝統をもつ学問である。偉大な多くの先輩の恩沢に浴して、及ばずながらその衣鉢を継ぐわれわれの任務は、これら先輩によって開拓され体系化された国際法の原理を、正しく理解し咀噛して、誤りなくこれを後世に伝えることである。といっても、先人の書を引き写して、ただこれを、旧い文章を新らしい言葉で書き改め、現代の人々に理解し易いようにして出せば任務は済むという訳のものではない。流動する国際社会は、次々に新らしい事実を生み、新らしい国際関係を作り出す。従来の国際法の原理を、これらの新現象に当てれば、反射して出来る映像は、過去にはなかった新らしい国際法規であることもあろう。またこの新らしい現象を説明するためには、従来の国際法学が用いなかった概念を新らたに工夫し鋳造することも必要になるであろう。だから伝統的な国際法学の理論を受け継いでこれを後世に伝えるという簡単そうに見える仕事にも、不断の注意と工夫が要請される。しかしこのようにして外形は変化して行こうとも、私らの学問の精神は、長い伝統をもつ国際法学を誤りなく後世に伝えることにある。その説に新味を与えるために、それが従来の国際法の原理に照らして許され得るものかどうかを考えずに、国際法の新理論なるものを説く立揚を、私らは採らなかった。

この本って私が最初に読んだ法学の本です。
当然最初に読んだ国際法の本でもあります。
高校時代ですから今から30年近く前ですか。いせや書房という函館の老舗の古本屋で買ったものです。

で,この前ふと気づいたのですが,この序文に書かれている姿勢って,今の私のスタンスでもあるんですね。本人あまり意識してこのスタンスに立ったわけではなかったのですが……。

というので,この本は,私のはじめての法学の本であると同時に,私のその後を決定付けた本でもあったのでした。


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