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それは「所有権に基づく返還請求権(いわゆる物権的請求権)」に類した法理か?

国際裁判の動態p26
主権確認請求に主権内にあった物の返還請求を加えることが訴えの変更となるかどうかの議論において
プレア・ビヘア事件判決を検討しているんだけど
その中でこんな一節があるのさ。
「ここで裁判所は,日本法で言う「所有権に基づく返還請求権(いわゆる物権的請求権)」に類した法理を採用しているといえる。つまり,口頭手続中に主張された請求でも,それが原請求において主張された権利(本権の場合は主権)の一効力であるゆえ,原請求に潜在していたものと見なされたのである。」
このくだり,何回読んでもひっかかる。
「所有権に基づく返還請求権に類した法理」は
「原請求に潜在していた請求であるか否かによって訴えの変更にあたるか否かを検討する」問題について
何も語っていないし,
日本法でこの点について語っているのは
むしろ「給付訴訟が可能な場合の確認訴訟の是非」の論点なんだよなあ……。
したがって,これを「つまり」で受けちゃうのがどうにもひっかかる。
多少善解して「ここで~いえる」は全くの修飾で,
「つまり」はその前の一節を受けているんだとしてもいいし,それはそれなりに読めるんだけど,
それだと「つまり」の前の文章の方がよほど読みやすく
「つまり」以後がかえって難解な文章になっていて
ぜんぜん「つまって」いないのである。

しかも日本法では所有権に基づく返還請求権≠物権的請求権ではないからなあ。
物権的請求権=返還請求権+妨害排除請求権+妨害予防請求権
……しかもこれ法理か?明文はないが解釈で認められる権利そのものなのだが……。

(2010年12月6日 23時48分)


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