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OKwaveやるな~。

「事前に裁判付託合意が締結されずに、紛争当事国の一国が紛争の一方的請求を行った場合でも、裁判所は、相手国が出廷に同意した(コルフ海峡事件)か、事実上参加しその判決に反対はしない限り(上部シレジアの少数者学校事件)、有効に管轄が設定されたものと看做す。確定的な効果をもつ黙示的受諾の制度であり、国際判例によって確立したものである。裁判所規則も、請求当事国が管轄権の根拠とされるべき法的理由を「できる限り」明示すべきものとし(規則38条2項))、この制度を容認している(国際法/山本草二/694-695頁)」
こういうことを言っちゃう人が
「なお、国際法は、民法すら勉強してない、法学部出身ですらない輩が、知ったかぶって、国際法専門家を自称することの多い法律科目である。条文や文献すら摘示しないで独自論を語ってデタラメを質問者に申し向ける人間が少なくないから、質問者におかれては特に警戒が必要である。」
なんて言っている。

……あ,そうか!自分自身のことを「信用するな!」ってことか!
  ……それ高等すぎて,わかんね~よ~!
    ……そしてこれがベストアンサーって,知らない人見たら本気にしちゃうよ……。

なもんで,一般の人にはあまり知られていない話なんで,正解を書くとさ~。
実はこれ,間違い。見事に真逆に行っている。
(……ああ,あたしって野暮だわ……。)

まずコルフ海峡事件判決っていわゆる応訴管轄を認めた判例なんだけど
この時の被告アルバニアって
「そんなことしたら応訴管轄とられちゃうやん」
ってはらはらするような行動して
実際応訴管轄とられちゃったという。
具体的に言うと管轄権がないとかさんざん言っておきながら
その同じ書面で
「裁判所に出廷する用意がある」
って断言しちゃったんだもん。
で,判決で
「アルバニアによる裁判所の管轄の任意によるかつ争う余地のない受諾を意味する」
って判断されてしまった。

上部シレジアも
「管轄をそれぞれ別々にでも受諾すれば合意でなくてもいい」って言っているだけで
受諾していなくても裁判できるなんて判例じゃない。

で,ここから先がポイントなんだけど
実は1950年代の冷戦時
アメリカはソビエトにがっつんがっつん一方的な提訴をしているんだよね。
そして訴状を受け取ったソビエトはことごとく
「裁判所が審理できるとする理由がない」
という内容の書簡を裁判所書記局に送って
で,実際管轄権がないからという理由で
「付託事件リストから削除する命令」(……日本の裁判的に言えば却下決定だな)
が出て一件落着となっているんだ。
(今ざっと数えたら5件)

そしてこの5件以外でも
国際司法裁判所はさんざん繰り返している指摘があって
それは
「同意を与えた国に対してのみ管轄権を行使できる」
というルールの存在。
例えば1943年にローマから持ち出された貨幣用金に関する事件判決では
「充分確立された国際法の原則」
とまで言いきっている話。
その同意が
「形式・様式は問わない→コルフ海峡事件」
「国ごとに別々でもいい→上部シレジア」
ってだけなのだわ。

……充分確立された国際法の原則を勝手に変えるなよなあ。(笑)

(2012年8月30日 21時34分)


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