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空気ブレーキの仕組みをもう少し詳しく見てみよう

自動車のブレーキと操作が違っている電車のブレーキについて,もう少し詳しく仕組みを見ていきましょう。

函館市電の体験運転に使われる車両の運転士が操作するブレーキは,基本的に車輪に金属(ブレーキシュー)を押しつけることで,そこで発生する摩擦力によって車輪の回転を止めることにしています。このブレーキシューを車輪に押しつける力の加減は,空気によって行っています。電車は,電気の力で圧縮空気を作り出し,それを空気だめに貯めています。圧縮空気が一定量たまると圧縮空気を作るのを中断し,少なくなりすぎると再度作るようにしています。今どのくらいの量が残っているかの目安として,圧力計には,色違いのもう1本の針で表示するようにしています。1本はブレーキをかけたりはずしたりすることですぐに動きますが,圧縮空気の残量の目安になる方は,ブレーキにはすぐには連動せず,圧縮機が作動した時(ゴゴゴゴという感じの音がします)に一定量に戻るような動きをします。

空気だめの配管はブレーキシューのところまで続いています。末端はピストン状になっており,その先がブレーキシューにつながっています。
しかし,これだけでは,圧縮機が動くたびに常時ブレーキがかかってしまいますよね。
そこで登場するのが,空気の流れを制御する「弁」です。
「ブレーキシューに向けて空気を送り出す状況」 「これ以上空気を送り出さないが,送り出した空気をそのままためこむ状況」
「ためこんだ空気を抜く状況」
この3つの状況を作り出すことで,
「ブレーキシューの押しつける力を増やし続ける」
「ブレーキシューの押しつける力を一定に保ち続ける」
「ブレーキシューの押しつける力を減らし続ける」
のです。
そして,「ブレーキシューに向けて空気を送り出す状況」=「ブレーキシューの押しつける力を増やし続ける」のがブレーキレバーを右に動かすこと
「送り出した空気をそのままためこむ状況」=「ブレーキシューの押しつける力を一定に保ち続ける」のがブレーキレバーを真ん中にすること
「ためこんだ空気を抜く状況」=「ブレーキシューの押しつける力を減らし続ける」のがブレーキレバーを左に動かすことなのです。
※ちなみに真ん中の位置は「保ち」続けるので「保ち」と呼んでいます。「ラップ」とも言います。

ブレーキを物理的に考えてみようの1  ブレーキを物理的に考えてみようの2

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