CUIなワークステーションを作る へ

U270とFreeBSD8.3でCUIな「ノート型ワークステーション」を仕立ててみる

 FreeBSDがうまくできたり挫折したり,Gentoo Linuxが思いの他好成績だったり,いろいろ試してきましたが,FreeBSD8.3でなんとなくめどがたってきた感じがしましたので,ノート機1台をFreeBSD専用に投入することとして,NEWS1250以来のワークステーションに挑戦することとしました。

大前提として注意事項

 MSiU270は,このワークステーション計画のために新規で購入しました。キーボードも,UNIXワークステーションの名に恥じぬよういわゆる英語キーボードに換装してもらいました。
 ところで,U270はwindows7がインストールされている機械ですが,添付のCD,DVDにwindows7はなく(デバイスドライバ等のCDはある),HDDの中にリカバリー領域をとってあって,何かあったときには「電源投入→F3」でリカバリー領域から初期化の上で復元するような仕掛けになっていると思われます。そしてHDDクラッシュ対策としては,予めWindowsのデスクトップに置いてあるMSI BurnRecoveryを起動させisoイメージを作ってそれをDVDに焼いておくという手順が必要です。
 これから先で,私は,HDDを全部初期化します。そうしますとリカバリー領域からのwindows7の復元も当然不可能となります。元々「HDDを全部初期化して別のOSを入れる」のはおよそ正常な使用方法ではありません。そうなるとメーカー保証は受けられなくなると思われます。
 とはいえ,この御時世で「CUIなワークステーションを作ろう」と思う人が,windows7に戻したいとは思わないでしょうし,失敗してもそれなりになんとかするか,仮にメーカーに御願いするにしても,相応の対価を支払うと思うのですが,一応念のため注意喚起しておきます。
……このあたりで他人に責任転嫁しちゃう人は,そもそもこんな作業に手をつけちゃだめさ〜。

0 下準備

 大前提で述べたとおり,U270はいわゆる英語キーボードに換装しています。当たり前ですが,換装していなくてもここで述べた作業は可能です。英語キーボードを前提にした所を読み替えていただくだけのことです。「日本語キーボードのままでやる」とか「英語キーボードにもう変えている」という人はこのまま次に進んでください。「英語キーボードに変えたいんだけど何か手があるの?」って方は,「U270(初代を除く)のキーボードを英語キーボードに換装する」をどうぞ。私がMSiを支持している理由の1つとその具体的な手順を書きました。

1 準備するもの

・いわゆるLANケーブル
・2GB以上のUSBメモリー
・当たり前だけどU270本体と電源アダプター
・気づきにくいけどU270にLANケーブルをつないだ先にインターネットに接続できる環境

1 インストール用USBメモリーの用意

 通常はUSB接続し,起動可能な外付けCD・DVDでも起動できるのですが,U115もU270もこれができません。U270について言うと起動ディスクが(起動されたFreeBSDからは)途中で行方不明になるようです。ところがUSBメモリーからのインストールは可能だったので,最初からこの手順にします。
 USBメモリーからのインストール用のファイル(FreeBSD-8.3-RELEASE-amd64-memstick.img)をダウンロードし,USBメモリーに(ディスクイメージとして)書き込んで,インストール用USBメモリーを作ります。私は今回書込用には,「DDforWindows」を使用しました。
 インストール用ファイルのおおもとのサイトとしてはhttp://www.freebsd.org/ja/where.htmlがあります。ここのサイトからだと配布元→上位のディレクトリに移動→ISOimages→8.3とたどることになります。あとは該当するファイルをクリックするだけ。

2 USBメモリーから起動

 LANケーブルが物理的に接続され,インターネット接続可能な状態になっていることを確認し,USBメモリーを挿して,電源を入れます。
 電源が入ったらF11キーを押しっぱなしにするか何回かタイミングよく押して,起動手順を変え,USBメモリーから起動させます。

3 ブート画面はそのままで可

 BSDおなじみの白黒のブート画面が出ます。
 1を選んでもいいですし,そのままにしても1を選んだことになるんでそれでもいいです。

4 Country Selection

 ABC順です。Japanを選択。

5 System Console Keymap

 USA CapsLock−>Ctrlを選択。
 ちなみにこれを選ぶと英語キーボードのCapsLockがControlとして扱われて,よりHappy Hacking Keyboardに近くなります。

6 sysinstall Main Menu

 Standardを選択  ちなみに次に出るmessageはOKしか選択できません。

7 HDDの選択

 インストール先のHDDを選択するのですが,なぜかインストールのために挿しているUSBメモリーも「daなんちゃら」で認識されてしまいます。それを避けて=たぶん「adなんちゃら」の方に「*」をつけてOKです。
 ちなみに……U115で元のCドライブ用のSSDを外し,HDDをSSDに取り替えても,認識してくれません。たぶんハードウェアの設計の問題……というか仕様と思われます。(なにせHDDを通電中に回路切って電気も止めることができるってえんだもん。)

8 fdiskのための引数があっているかどうかの確認

 とりあえずFreeBSD側でHDDの構成を調べてこれでいいかいと聞いてくるのですが,昔からここは「No」を選んで再計算させるのが定石とされています。
 再計算したら「OK」しか選択肢がありません。

9 FreeBSDのための領域の確保

 全部をFreeBSDに使うので「A」を選択したあと「Q」で終了。

10 Install Boot Manager for drive adなんちゃら

 1台まるごとFreeBSDなのですから,ブートマネージャーのインストールは不要です。Standardを選択。(標準的なMBRをインストールするって訳せますが,本質はブートマネージャーをいじらないということです。)
 ちなみにHDDが複数あるってえんで選択を求められますが,あくまでターゲットとなるHDDを選択し,間違ってもUSBメモリーを選択しないように。

11 FreeBSD Disklabel Editor

 1つのパーティションを選んだ上で,「A」でデフォルトの値を自動設定し,「Q」で終わらせます。
配布ファイルを選択してください

12 Choose Distributions

 もはやHDDはお大尽なので,「All」を選びます。
 ちなみにここは「OK」押しても止まらないので,Exitを選びます。

13 Choose Installation Media

 FTPを選びます。

14 当面のネット接続先

 速度の速いところを選ぶのが筋ですし,たいてい日本のサーバーを選ぶことになりそうな気がします。

15 Network interface information required

 有線の「re0」が,U270のイーサネット用端子に該当するので,最低限これを選んで「OK」です。
※ちなみに今,この原稿を修正するため,MS1058という最近はもっぱら実験機にインストールしながら書いているのですが,なぜか無線LANの内蔵子機まで「ral0」と表示しています。

16 IPv6の設定も試してみますか

 それでどうなるというものか否か,現時点では読めないのですが,あえて「Yes」を選びます。

17 DHCPを使いますか

 後で固定IPで運用するにしてもとりあえず使えるものは使ってみましょうということで「Yes」。ちなみに,とりあえずDHCPというのは,自宅のネットワーク内でDHCPのサーバーとして動いているくれるものがある限り,とりあえず正解です。

18 Network Configuration

 Host名とDomain名を入れます。Host名は,同一ドメイン名の中では重ならないように,できればANKだけを使って作ってください。ドメイン名は,適当に。

19 「本当にインストールしますか」

 もちろん!「Yes」
 そして今回のメインのHDD操作がはじまりました。
 おめでとうメッセージが出たら最終設定です。

20 この機械をゲートウェイにしますか

 たいていしなくてもいいはずです。たとえばADSLモデムなりルータなりがゲートウェイとなっていて,それをいじる必要がないとか。

21 Inetdと単純なインターネットサービスの設定を行いますか

 Noでもいいはずだけど,ノリで「Yes」ってやっちゃった。
 そうすると本当にいいのか聞いてくるんでこれまた「Yes」
 /etc/inetd.confの編集は今はしないこととして「No」

22 SSHログインを可能にしますか

 とりあえず「Yes」

23 この機械にanonymousFTPによる接続をしてくることを許可しますか

 当面「No」

24 この機械をNFSサーバーとして設定しますか

 当面「No」

25 この機械をNFSクライアントとして設定しますか

 当面「No」

26 System Console Configuration

 当面「No」

27 タイムゾーンの設定を今行いますか

 「Yes」
 そうすると,この機械のCMOSクロックをUTCに合わせた状態で使用しますかと聞いてくるので
 清く正しいワークステーションは内部時計はUTCだよねと言いつつ「YES」
 時刻は日本時間−9時間。
 もっとも内部時計を日本標準時に合わせるのが最近の潮流だと思えば「NO」
 Time Zone は「Asia」→「Japan」
 略号をJSTでいいかと聞いてくるので「YES」
 ……筋がいいのは「JT」なのだが……。いじらないでおく。

28 マウスの設定

 「このシステムにPS/2,serial,busのどれかのマウスがありますか?」と聞いてくるので「Yes」
 で「Enable」を選ぶと「マウス動きますか」と聞いてくるので,マウスパッドのあたりを触ってマウスポインターが動くのを確認して「Yes」
 もっとも,動かなくても「Yes」を押していい模様です。(4のあたりの解説にはそう書いていた。)
 ここはExitで抜けます。

29 パッケージ選択

 「NO」あとでまとめてやるから。

30 システムに最初のユーザーアカウントを追加しますか?

 あとでもいいけど,今やっちゃうことにするので「Yes」
 加えるのは個別のユーザー1人(rootじゃない自分自身)なので「User」
 そうするとAdd a new user画面になりますので,必要事項を入れてください。
 ちなみにGroup欄は必ず「wheel」にしてください。そうしないとsuからrootの作業することができなくなり,一旦logoutするなり,別のscreenを用意するなりして,rootでログインし直すことが必要となります。
 シェルはBSD系ではcsh系のシェルが好まれています。
 ……うっかり「sh」にしてしまい,「chsh」で修正したものの,これの正体は特定のファイルを操作する「vi」であるところ,vi全然わかんないんで苦労した。
 作業が終わったらExitで終了です。

31 システム管理者のパスワード設定

 「OK」を押すと,「New Password :」と出るので,まず1回入力し,「Retype New Password :」でもう1回入力します。
 適当につけていいけどきちんと覚えておくように

32 残りの設定を行うために、一般設定メニューに移動しますか

 「No」
 そうするとsysinstall Main Menuに戻るんだけど,Exit Installでとりあえず終わらせることが吉。
 本当に終わっていいか確認をとられるけど「Yes」!

33 再起動

 ここで再起動がかかります。
 電源が切れる隙にUSBメモリーを抜きましょう
 再起動後,ログインできたら,とりあえず一段落です。

34 個々のソフトのインストールの手順

ソフトウェアのインストール……パッケージとports」のとおり。

インストールするプログラムのリスト

nano
パッケージ名は「nano」
簡単なエディタは好きです。emacsは別論としてviよりは好き。
jfbterm
パッケージ名は「jfbterm」
日本語コンソールとしては私これしか使えていません。konはMSiというかたぶんAMDと相性悪いんじゃないかとにらんでいます。
東雲フォント
パッケージ名は「ja-font-shinonome」
どうもデフォルトのフォントがいまいちなので,他のフォントを試してみます。
したがってとりあえず入れないという選択肢はありです。
もし入れる場合,packageで入れられるbitmapなフォントはm-plusか東雲しかないので,東雲を入れます。

実は最初m-plusで試したんだけど……字が小さい!
というので東雲の16dotにしたという。
emacs-w3m
パッケージ名は「emacs-w3m-emacs23」
w3mがemacsから使えるようになります。
「emacs -f w3m http://なんとか」でいきなりサイトが見れます。
SKK
これはパッケージを入れただけではだめで,設定ファイルに一定の記述が必要となります。(詳細は後日)
 とはいえddskkをpkg_addで入れると,特に設定はせずとも「control-x control-j」でskkが動きます。
 この場合のパッケージ名は「ja-ddskk-emacs23」
LISP
Common Lisp
Steel Bank Common Lisp
clisp
scheme
MIT-Scheme
Gauche
Guile

35 .cshrcの設定

 こちらを参照。

36 /usr/local/etc/jfbterm.confの設定

最後の方「D. Font and Encoding configuration」の「2) Use M+ bitmap fonts」の箇所をまるごとコピーし
わかりやすいよう「2-1)」とでもした上で,次の行を書き換えます。
「fontset: iso-646-1973irv」の行の末尾「/usr」以下をフォントのファイルがある「/usr/local/share/font-shinonome/shnm8x16r.pcf.gz」へ
「+fontset: jis6226-1978」の行の末尾「/usr」以下をフォントのファイルがある「/usr/local/share/font-shinonome/shnmk16.pcf.gz」へ
「+fontset: jis6220-1969roman」の行の末尾「/usr」以下をフォントのファイルがある「/usr/local/share/font-shinonome/shnm8x16r.pcf.gz」へ
(最後のこれは実は自信なし)

/usr/local/share/font-shinonome見るとファイル名で似たようなパターンがあるんだけど,たぶん規則性あるんじゃないかな。
k16とあれば漢字で16dot(いわゆる全角),8x16はANK(いわゆる半角)
その後になにもなければ基本形
ANKの場合の後の「r」はローマ字
bはbold(太字),iはitalic(斜体),minは小さい文字
でも正直kon2の16dotのフォントが懐かしい。
実はMSゴシック(10pt〜14pt)とかterminalフォントが結構好きなんだけど……。
あれ,合法的に他のOSで使えないのかえ?

37 /usr/local/etc/jfbterm.confの設定

「~/.emacs.d/init.el」に,「(require 'w3m-load)」を書き加えておきます。

これで一旦ログアウトしてログインし直すか,
不安だったらrebootして再度立ち上げれば
CUIなワークステーションが動いています。

 ちなみに,当初,windows7をUSBメモリーに残すという作業をしています。手順は,「U270のHDDのバックアップをとってみたつもり」のとおりですが,これでは復元できませんでした。

(2012.6.6.初版)
(2013.2.11.最終改訂)

CUIなワークステーションを作る へ