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印鑑の理由

注文主のイラストを印鑑にしてくれるサービスがあるそうだ。
http://www.itaindou.com/index.php

で,読んでいくと
銀行印として使えたって話が紹介されているんだけど
これはまあ当たり前と言えば当たり前。
銀行がなぜ口座開設時に印鑑を届け出させ
窓口での払い戻しの際にその押印を要求するかというと
「預金払戻請求書(押印付き)を作成して通帳とともに提出された時に
 銀行備え付けの印鑑票の印影と預金払戻請求書の印影とを充分な注意をはらって照合して
 同一のものだと判断した場合には,
 預金を払い戻すことができ,
 この場合にたとえその印鑑が偽造もしくは盗難されたものだとしても
 民法478条によって,銀行は再度払い戻す義務がない
 =預金者がだましとった人間相手に請求しなさい。」
という点にあるんで,
民法478条及び関連判例で示された印影の同一性の判断に支障をきたさなければ
(=銀行に不利な判断がされそうな印鑑でなければ)
銀行が断る理由はないんだよね。
あとはまあ銀行の
「印鑑が変わっているってことだけで取引を断って客を逃がすか」
否かの判断に落ちる。

一方印鑑登録なんだけど
これは正直市町村役場によって判断が異なると思う。
というのは,印鑑登録という制度自体
直接の根拠は各市町村の条例によるんで
その条例にどう定めているかによる。
そして例えば函館市の条例なら
「その他登録を受けようとする印鑑として適当でないと市長が認めるもの(3条2項6号)」
的な条文はたぶんどこの市町村にもあると思うんで,
市役所の担当者がこれを発動してしまうと
行政訴訟でひっくり返すのはちょっと面倒かな……って感じ。
ただ,ぎりぎり言えば,氏も名もない印鑑ならともかく
氏か名が入っている印鑑であれば
印影の識別は文字だけの場合に比べてより容易であるとは言えるんで
勝ち目がないかと言うと個人的には意外にいけるんじゃないかとは思っている。
この点は「職業,資格その他氏名以外の事項を表しているもの(3条2項2号)」該当だって言われた時にも同じ反論が可。

この問題,実は究極的には
民事訴訟法228条4項のあの二段の推定の話における
「本人の押印」に
「本人の氏も名も一切ないor他人の氏・名らしきものが書かれている印」が含まれるかどうかという
結構深い問題につながるのではありました。


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