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再開札

例の東京地裁の不動産執行係の大型物件の抵当権実行の話なのだが……。

「再開札」という表現をしきりに使っていたTV局があった。
……「再開発」って言っているのだと思いたいんだけど
  これはこれで意味が通らないんで
  たぶん「再開札」って言っているんだろうな~。

まず「開札」という言葉はたぶん法律用語じゃない。
世間で使う言葉だ。
裁判所の競売手続だからきちんと定義付けはしているとは言え
世間の用法から特に離れた用法とは思えない。

前提としては「入札」だ。
これは「値段(を書いた札)を申し出る(入れる)」行為だ。
参加者が一同に集まってその場で公開で入札し直ちに開札して
さらにより高い入札をつのる「競り上げ」
逆に「これはねえだろう」という高い所からはじまって順に下げていき
がまんしきれず入札した人に決まる「競り下げ」
というのも広い意味では入札って言えるんだろうけど
たぶん一般的には,他の人には見えないようにして入れて
一斉に開封して一番高い人に決めるというやり方をする時に
「入札」って使うと思う。
そして一斉に開封するのが「開札」
……字面のとおりでしょ?

正直,東京地裁の決定文を見ていないから
その意味を解説するのは難しい。
裁判所の競売手続で「何月何日から何月何日までの間に入札してください」
という形をとる場合は,裁判所では「期間入札」と言っているけど
この標準形にした場合,
不正がないことを証明するために
入札に際しては入札書を封筒に入れて封をしてもらって入札箱に入れてもらい
(この手続をするのは執行官(室)だけど
 入札箱には鍵がかかっていて
 その鍵は執行官は持っていない。)
開札期日に公開で入札箱を開け
そして公開で封筒の封を切って読み上げるって作業をする。
この「封筒の封を切って中を開けて読み上げる」のが「開札」
これもまあ法律用語というより普通の言葉だよね。

ここまで書けば気付いた人がいるかもしれない。
いったん「開札」してしまえば
それを「再開札」することなど不可能なのだ。
……法律用語でないものに,なんでこんな珍奇な言葉を編み出して使うかえ?

とはいえ……
繰り返しになるけど
東京地裁の決定を読んでないから
何が起こっているかを正確に把握することはできない。
……東京地裁の決定はたぶん一定期間貼り出していると思うので
  それを正確にメモっていて私に教えてくれるというなら
  それに基づく解説もやぶさかではないのだが……。

ただ,ひとつおさえておきたいのは,
開札期日で一番高かった人に自動的に決まるというわけではないのだ!
なにせ「入札できない人」というのが法律で定まっている。
それに該当しないかどうかを裁判所が審査した上で
ようやく
「あなたが一番高かったし,法律上問題もなさそうだから,とりあえずあなたに売る方向で進めるね」
という内容の決定を出すわけだ。
正式名称は「売却許可決定」

本件ではどうも今話題になっている2回目の入札で一番高い値段をつけた外国企業に
何らかの事情で「適法な入札とは認められない」という判断をして
売却許可決定をその外国企業には出さなかったというところまではほぼ間違いないと思うね。
ただ今度買うことになったとされる国内企業に対してどういう決定をするのかが
現段階ではちょっと把握できていない。
スタンダードに考えれば
「次順位買受」って制度の発動で,これは
「1番目の人に売るって決めて保証金と代金の差額(残代金)を払えと言ったけど
 期限までに払ってくれなかった。」
という場合に,一定の条件を満たしていれば
再度入札することなく2番目の人が買えるというもの。
ただこれは今回はちょっと考えにくい。
次順位買受って制度は,一定の条件を満たすことが必要であることもさることながら
そもそも「1番目の人に売るって決めて……」という話なのさ。
……でもどうもそうではないらしい。
  1番目の人に売るとは決めてないらしい。
そうすると何らかの理由で1番目の入札が有効な入札ではなかったとして
有効な入札の中で1番高かった国内企業に売ることにして
これから売却許可決定をするってことって考えるのが自然だろうな……と思っているけど
推測の域を出ないのさ。

ちなみに……。
売却許可決定が出てもそれで決まりじゃない。
売却許可決定も「決定」という名が示すとおり,裁判所の裁判の一種だから
不服のある利害関係人で法律上許されている者は
抗告を出して上級の裁判所の判断に持ち込むという手段が許されており
それができなくなってはじめて
「よし,代金納める手続はこうなりますよ。期限までにおさめてね。」
という話になる次第。
当然,期限までに入金されなければアウト。
入札の時におさめて保証金も没収というのが原則。

独創ではないことに安心する

http://www.lufimia.net/dynamic2/tpl/53

事実上倒産

事実上ではない倒産って何か
一度聞いてみたいと思っている……。
(「倒産」って法律用語では実はない。
 法律で「倒産」って語を使用しているのはあるんだけど……。
 おそらくマスコミの用法と違っていそう。)
(2010年2月18日 23時26分)

弁護人

これは正直「マスコミ」とひとくくりにするのはよくないと思う。
業界と同じ用法の所も結構見るので……。

業界での用法は「刑事訴訟において,被告人のために活動する人」
刑事訴訟というのがミソで民事訴訟では弁護人とは言わない。
「代理人」という。

そして「弁護士」というのと区別がつかない例もまれに見受けられる。
弁護士というのは職業
弁護人というのは刑事裁判における立場。
だからA弁護士が被告人Bの刑事事件の弁護人となり
C弁護士が弁護人とならない場合
A弁護士は弁護人であるがC弁護士は弁護人ではない。
(2010年1月19日 22時01分)

拘置

犯罪を犯したとして疑われていて強制捜査の対象になっている者(=被疑者)を逮捕した後に
原則10日、延長が認められればさらに10日間、身柄を拘束すること。

刑事訴訟法では「勾留」と言うんで全然違うのさ。

どうもきっかけは「勾留」の「勾」の字が当用漢字表にないので、
当用漢字表以外の字は使わないマスコミとしては「勾」留とは書けない、
そこで「勾留された者が収容されるのが原則「拘置所」のはずやん」というので
「拘置」という言葉を編み出したという経緯らしい。

「勾留」を「拘置」に言い換えたからってどれだけ平易になっているか疑問だということからすると
当用漢字表と違って常用漢字表は「ない字は絶対かな書き、さもなくば言い換え」というものではないのだから
(常用漢字表の根拠って内閣告示なんだけど、その中でこの点は明言している。)
もはや「勾留」と言うことにしていいと思う。
思うんだけど……。

勾留は被疑者だけではなく被告人に対して行う。
さらに字は違うんだけど、刑罰の種類で1月未満刑務所に収容する「拘留」って刑もある。
なもんで、業界人サイドでは同音なのが悩みのたね。
……「被疑者勾留」「被告人勾留」と言い換えることは結構多い。
……「拘留」については手を打ってないんだけど、
「短期間刑務所に収容するのは犯罪者の更生の面ではむしろ害」というのがあって
懲役刑・禁錮刑でも執行猶予って制度があるくらいなんだから
拘留(ちなみに執行猶予は条文上あり得ない)はいよいよ実例が皆無に等しい。
どうしてもというなら拘留「刑」と言っちゃえばいいので……。

業界人の側にそういう不合理があるもんで
その点では拘置と言い換えるのもそう批判されるべきものでもないと言わざるを得ないのだな。
(2010年1月19日 22時00分)

被告

犯罪を犯したと疑われて刑事裁判にかかっている人を指しているんだけど,
正直なんで刑事訴訟法どおり「被告人」と言わないのかすごく謎。
しかも民事裁判では訴訟を起こした側を「原告」
起こされた側を「被告」って言うもんだから
「なんでおれが被告なんだ!」って怒る人が実際にいるらしい。
「被告人」を「被告」というのは百害あって一利なしだと思います。
(2010年1月19日 21時59分)


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