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質権の法的性格

 質権というのは、例えば貸したお金を確実に返してもらうために、物を預かって、お金を返すまでは預かった物を返しませんよ、という約束のもとに、その預かっている物に成立する権利です。
「物権」であること
 その物に成立し、基本的に誰に対しても主張できます。約束した相手など限定された相手にしか主張できない債権とは、「誰に対しても」という点で異なります。物権であれば、物権的請求権と呼ばれる「返還請求」「妨害排除請求」「妨害予防請求」が認められますし、物権を侵害すると不法行為として損害賠償請求の対象となります。
 ただし質権の場合、物権的請求権について制限があります。
「担保」物権であること
 物権は大きく分けて「所有権」「占有権」「用益物権」「担保物権」に分けられますが、「占有権」というのは「その物を現に持っている」という点に着目し、その現に持っている状態を保護するためにどう法律構成しようかという観点で編み出されたものなので、性質がだいぶ異なります。
 所有権というのはなんでもできる万能の権利です。用益物権は他人が所有権を持つ物に対し、何らかの使用ができるという物権です。用益物権としては、地上権、永小作権、地役権があります。担保物権というのは、他人が所有権を持つ物に対し、いざという時にはその所有権に制限を加えたり強制的に移転させることで、債権の回収に役立てようという物権です。
「約定」担保物権であること
 担保物権はその成立の形態によって2種類に分かれます。法律上一定の要件を満たせば当然に成立する法定担保物権と契約によって成立する約定担保物権です。法定担保物権には先取特権と留置権があります。約定担保物権には抵当権、質権があります。

※なお、以下のコンテンツは、次の資料を引き写したと言ってもいいくらい参考にしています。詳細はこれら資料を御覧ください。
・我妻栄「担保物権法」岩波書店
・内田貴「民法III」東京大学出版会
・米倉明他編「金融担保法講座 IV」筑摩書房
・加藤一郎他編集代表「担保法大系 第2巻」金融財政事情研究会

(2004.9.28改訂)
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