lufimia.netホームページへ

保釈取消

なんか例の件は
「自分でやったと認めたから
 保釈取消になって収監されたんだ」
って思っている人が多そうな気がしてならない……。

とはいえあたしだって取消決定見てないんであれだけど
まあおそらくは広く言えば
「保釈条件違反」
具体的には(個別の条件がもしあってもそれはいよいよ知りようがなくて)
刑事訴訟法95条1項の
2号「被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき」
3号「被告人がを隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」
あたりではないかと思っているんだけど……。

少なくとも「自分でやったと認めたこと」は
保釈取消事由にならないどころか
むしろそれまで保釈が認められなかったのに
保釈を認めることになる理由と業界では考えられている。
(これはこれで人質司法と批判されるゆえんのものであるが。)

まあ,重い犯罪を行ったと疑われることや
実刑必至だという状況自体が
逃亡のおそれを定型的に生じさせるというのも
わからないではないんだけど……。
(でもこれまた人質司法じゃないかとか
 「無実の人間を疑えば逃亡のおそれありで保釈不許可っておかしくないか」
 という批判もうなづけるところ。)

あと自殺するということが
最大の罪証隠滅行為であり,かつ,裁判を妨害する行為であることは
なかなか気付かない点だとは思うのよ。

ということで本件の保釈取消決定自体をどうこう論評するつもりは全くないんだけど……だ。

「真犯人は別にいる」的メールを送ることが
本件において罪証隠滅行為にあたるというのは
通説的見解だとわかっていても
個人的にはなかなか違和感が拭えないところだったりする。

というのは……だ。
まず通説的見解から先に書くと
嘘の内容を捜査機関に知らせること自体に
捜査を撹乱させる要因があるのは否定できず
「犯罪事実につながる真の証拠を見えにくくする」
という意味で罪証隠滅行為の一種だと考えるわけさ。
であれば,裁判進行中でもその性質は変わらない……と。

ところがね……。
あたしどうしても違和感がある。
というのは……だ。
裁判がはじまって証拠も出ている段階で
「真犯人が別にいる」
というメールが出たくらいで
裁判の過程が動揺したり,裁判の結果が変わるというのであれば
それはもともと「有罪と判断するには合理的な疑いが残る」状況で
無罪判決を書かなきゃいけない状況だったのではないか,
逆に言えばそんなメールでは今更結論が変わらないというのであれば
それって罪証隠滅行為なの?って疑問なわけさ。

とはいえ……
上述のとおり
結局ゴールが一緒なんだけどね。


No comments yet.


コメント記入欄

コメントフィード

トラックバックURL: http://www.lufimia.net/dynamic2/tpl00/332/trackback


  • カテゴリー

  • RSSフィード    Atomフィード


    検索